効率化と利益率に相関性は無いと思いますよ。

ちょっと前ですが、おかしな記事を発見し、「なに言ってんの?こいつ?」と思うところがありました。

それで「そのおかしな記事」というのが;

なぜ効率ばかり追求すると利益が減るのか

そもそも「プレジデントは読まない雑誌プレジデント」からの寄稿らしいのですが、なぜ私が反応したかというとこのクソみたいな内容にfacebook上で「いいね!」がかなり押されていたからです。

別に信じるのは人の勝手なので構いませんが、私が今現在一緒にやっているパートナーや周囲の取引先に悪影響を及ぼしてもまずいので、「私の考え」を明確にしておこうと思います。

まず、効率化の定義が難しいところですが要するに「時間短縮」ってことです。一つの仕事をやり終えるのに3時間かかっていたものを2時間で終わらせましょう、とか3人でやっていた仕事を2人にしましょう、と言ったところです。

すでにおわかりかと思いますが、すべて内部のコスト(固定費)なので労働者あたりの負担は減りますが、売上が増える要因も無ければ原価が低減する要因も無いのです。

先に結論を書くと「長期的に利益率の改善につながるけど、短期的には変わらない」ということです。

工場の生産ラインなどであれば3人分の仕事量(8時間/日)を2人でやれば「1人分コスト削減」ができるので、そのコストの分だけ利益に貢献します。ただ、その二人が一日12時間ずつ働いてしまえば削減したコスト分は相殺されます。これを「効率化」とは言わない。

それで件の記事の中盤くらいに;

しかし、である。編集者の多くがインターネットを使ってネタを検索するようになってからというもの、企画会議で提案されるアイデアは、ほとんどが似たり寄ったりのものになってしまったのである。世の中が、過度に効率を追求するようになった結果である。

と書かれていますが、こんなの効率化とは何も関係ない。そんなのインターネットを使っている人間の能力の問題であってこれを「効率化」などと言っているのはナンセンス。それじゃ他の出版社で同様にネットで調べている連中ができていないのか?と言えばそうではない(※少ないとは思います)。

それで当事務所も零細ながら外部のパートナーとの連携をしているわけで、彼らにはいつも「効率化」を言っている。とにかく手をかけない、自動化できるものは徹底的に自動化することを要求しています。この要求は相当シビアにやってます。

ただ、これは「利益率」ではなく、効率化することで時間を短縮し、短縮した時間の分だけ他のプロジェクトに時間の配分をすることで売上アップ、次の戦略事業への「時間の先行投資」などをするためです。

ダイレクトな「利益(率)の改善が目的ではない」のです。

そもそも効率化なんて内部要因にしか機能しないのであって「効率化した部分」をどう活用するかが重要。単に効率化を目的化しても利益なんて改善しません。だから「短期的には利益に貢献しない」のです。

また、効率化のために設備投資をしたりすると思いますが、そうしたキャッシュアウトを回収できる計画の元にやらないと暇な社員を増やすだけです(※長期的にはこうした社員をリストラするなどすれば利益(率)は改善しますけどね)。

まとめると、効率化すると利益が上がると思っている人は多いけど、本当に重要なのは「効率化した結果生まれた時間をどう使うか」だと思います。

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(蛇足)

「脱マニュアル」というのもよく聞く話ですが、「脱マニュアルでも仕事のできる社員の給料」について誰も触れてませんよね?安い人材(仕事に対する意識が低い人材)を「効率的」に使うにはマニュアルが必要なんです。

さらに言ってしまえば99%の企業は;

顧客を熱狂させる必要もなければ、100点満点の顧客対応も必要ない、

のです。

企業は目の前の問い合わせ(というかクレーム)を50点でいいので処理したいのです。なぜ50点で良いかといえばそれがもっとも効率的で経済合理性が高いからです。

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