「気の利かないアメリカ」みたいな国、中国。

師走です。

仕事納め、なんてあるわけもなく、普段通り仕事して新年を迎えることになる。

それで、結局のところ当事務所のこのブログは年に一回更新ですな。本来であれば新規の取引先はこういう場が当事務所の情報収集の場なんでしょうし、そういう意味ではとても重要なはずなんですが、まぁ、書くことが無いというより書けることがないのです。

日常的なことについてはFBページで書いている(更新頻度は不定期)のでそちらをご参照頂きたい。

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さて、今年は中国に二度行った。いつもなら中国一回、別の国一つ、もしくは二つくらいのペースで海外出張があるが、今年は中国だけ二回行った。

仕事はもちろんのこと昨年から個人的な興味も尽きないのが中国で、実際に現地に赴くと報道されない事が見えてくる。

それで今年は紹興市と北京市に行った。

むろん、上海経由でそれぞれ行ったが今年の上海はただの経由地となった。毎年行くのに「上海だけ」というのもつまらないし、どうせならということで出張先の関係で紹興市、個人的な興味で北京市に行った(それぞれ7月と11月)。

あの広大な国を網羅した訳では無いので偉そうなことは言えないが、中国はすでに「先進国」だと思っている。そもそも「中国」は日本人でも「持つイメージ」が様々で、中国の話をするとあまり良いイメージを聞かない。特に国民性についてマイナスイメージが多いと感じる。

声がでかい、集団で行動する、臭い、などなど。確かにそういう側面はある。ただ、現地に数回赴くとそれらについていろいろ思うことが出てくる。

●声がでかい

これは人口の多さに起因すると思う。あれだけ人がいると自分の意見を通すことはおろか、ファーストフードのカウンターで自分の注文を店員に聞いてもらえない可能性もある。さらに、そうした状況で並んでいても割り込まないと自分の注文が通らない可能性もある。そもそもファーストフードの店員なんぞ「やる気無し」なことも(※やる気は無いが「悪意」も無い。そもそも表面上は社会主義国で、その名残くらいに思えば腹も立たない)あるし、人が多すぎて店員も注文をさばくのも大変だ。さすがに最近では「愛想のある」接客する店員もいるが、基本は「期待しない」ほうが良い。

そんな状況だもの、そりゃ声も大きくなる。


(参考動画:北京の食堂でランチしたときの光景。1:10あたりで私が注文タイミングを伺っている。また、その際に他の客が「アリペイ」で支払っている光景は今時の中国。)

※写真は上海のケンタッキーフライドチキン(2015年7月撮影)。カウンターに横並び。それぞれがあれやこれ言っている光景(前も後ろも関係無し)。

●集団で行動する

これは単に海外へはツアーで行くから。個人旅行で海外へ行く中国人はかなり高い教育を受けていて、英語がある程度できるような層だと思う。日本人だってさほど変わらない部分で、ツアーじゃないと海外行かないという人は多い。なのでそこは中国人だから、と言うことでも無いと思う。ただ、マナー全般について言えば確かに問題あるが、情報量が増えたり、ライフスタイルの変化と共に、少しずつながら変わりつつあるんじゃないかなぁ、という空気は感じる。

あと、個人的には人見知りというかシャイな人たちという印象がある。こちらが外国人とわかるとけっこう引かれるようなことはある。ただ、これは私個人の風体に起因するかも知れないところなので何とも言えないが。

●臭い

これはおそらく食文化とか入浴習慣など、いろいろ要因はあると思う。

10年以上前、ミュンヘンのドミトリーに泊まった際に、中国人二人と相部屋になった(彼らはドイツ語を勉強しに来ていた)。そのときも部屋中が「中国」の臭いがした。深夜に現地人とおぼしき白人が来たが、早朝逃げるように出て行った。

場所や人によってはそんな臭いしないんだけど、それでもまあ、臭い人はいるよねぇ。東京でも山手線でホームレスが乗ってくると独特の不潔な感じの臭いがするが、ああいう臭いでは無く、食文化に起因するような、香辛料のような臭い、と言ったところ。


(参考動画:慕田峪長城(万里の長城)で長城行きのゴンドラ乗った際、5名ほどの中国人と一緒になったが久しぶりにあの臭いがした(1:20あたり)。不快ではあるが、不思議なのはこの臭いは毎回誰もが同じということ。)

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「人が多い」ということについて少し触れる。

14億人とも言われる人口の規模は日本にいるだけではそのスケール感が掴めない。単に14億人が中国全土に均一に広がっている訳では無く、一説によると7割が東側に住んでいる。上海、北京に至っては2,000万都市だ。ただ、中国はとにかく「広い」。人が多くて広いというのを感じたのは上海の高速鉄道の駅で実感した。

(参考動画:上海虹橋駅のATMでキャッシングした時の様子。前半に駅構内の映像有り。)

この駅は高速鉄道(新幹線)の駅で、天井高さも面積も日本人の想像を超える。動画は平日の金曜日なのでそれでも人が少ないほうだろう。これが週末や、特に9,000万人が移動すると言われる「春節」の時期になるとどれだけ人が溢れかえるのか想像するとぞっとする。

他に人が多い場所と言えば「観光地」。中国人にとって海外旅行はまだハードルが高い。そのため上海や北京は中国人にとって「人気の観光地」である。むろん場所によるが、夏の上海の外灘(ワイタン)エリアはウンザリするくらい人がいた。

※ほとんど中国人。外国人観光客が見当たらない(写真は2015年7月撮影)。

※この写真の後ろ側が上の写真の場所。ここは歩行者天国ではなく車道(2015年7月撮影)。
渋谷の交差点なんて比べものにならないくらい人であふれていた。

あと、移動インフラや街中を見ていると、道路幅はアメリカ並みに広く、道路はどこまでも続いている。主要幹線道路は渋滞もよく起こる。

※ホテルから路線バスで上海虹橋空港へ行く途中の様子。(2018年11月撮影)


参考動画:天安門広場前の交通量(2:58あたりから)。「人民服に自転車」なんて人はどこにもいない。

※上海虹橋駅のタクシー乗り場。タクシーも移動手段として便利。ただ、駅のタクシー乗り場だと長蛇の列になることも。この日は待っている人少なめ。(2018年11月撮影)

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こうして数回中国に行くと、大量消費、モータリゼーションなど、まるで「アメリカ」みたいだと感じる。本当に自動車の数が多い。上海、北京に至っては物価なんて東京より高い。スターバックスの一番安いコーヒーで600円ほどするが、現地の若者たちは買って飲んでいる。スーパーへ行けば若い夫婦が子連れで「和牛(※1)」を買っている(もし、現地に住んでいたとしてもとても高くて買う気にならない値段だった)。

ショッピングモールに行けばユニクロはもちろん、日本のアパレルブランドが普通にある。日本食の定食屋へ行けば若いOLたちが「サンマ定食」を食べてるし、「日式」と書かれた製品や看板も至る所にある。「日式」とは「日本風」とか「日本式」という意味で、日本が人気なことがうかがえる。日本のスーパーはイオンやイトーヨーカドーがある。イオンに行けば日本と同じ生活ができるほど物があった(※値段は日本と同じかやや高い)。

表面上、社会主義国ではあるが、その実は(いびつながら)民主主義国で、アメリカのような方向性を辿っている。ただ、漠然とどういうわけか「アメリカほどまだ気が利かない国」という印象。一言では言えないが、スケール感ややってることはアメリカっぽいが、何かこうまさに「気が利かない」んだよねぇ。その一方、彼らは後発なだけあって、先進国の長所短所を見極め、良いところはきちんと取り入れている。例えば、地下鉄の駅は東京やニューヨークよりも「エスカレーター」が整備されていて便利だ。そういうところは抜け目ない。

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日本国内の報道だけではこうした情報は扱われない。「政治の部分」か「経済の部分」のどちらかだけを取り上げて報じられる。ただ、実際のところ政治の裏に経済ありきということは意識すべきで、諸問題があるにはあるだろうけども、日中双方どちらかというと「経済=お金」優先だろう。根拠は無いが、肌で感じたのは中国政府も政府と軍の間でもいろいろあるんじゃないかねぇ。

本当に中国が日本を嫌うなら、日本人の渡航に制限がかかるはずだがそういうこともない。逆もまたしかり。現地で日本人だからと言って差別されたこともない。そもそも尖閣諸島問題なんて知ってる人のほうが少ないだろう。

そんなことより中国の抱える問題ってかなり深刻で、個人的には「格差、少子高齢化、食料問題、相続税」、このあたりがキーワードだと思っている。少子高齢化に至っては一人っ子政策の影響で日本のとはわけが違う。

そもそもあんな広い国土に何十、何百の人種や民族がいて、それをザックリまとめて「一つの国」とするのはいささか乱暴な気がする。

それなのに人種、民族、言葉も違う14億人を管理して、食わせるって、中国政府もよくやるよ。

それではまた来年末にでも。

(※1)参考:和牛、中国で大量流通=禁輸理由に、カンボジア経由か(出所:時事通信)

 

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