たまに「なんで東京に住んでるの?どっか地方へ引っ越せば?」と言われることがある。
要するにこの問いの裏側には経済的に地方都市のほうが安いという理由があるようで、これはこれで一理あると思っている。でも、なぜ東京にいるかと問われれば、日本で一番無個性な街ではあるが、「機能的」だからだ。
「東京全部」をひっくるめてというわけではないし、部分的に個性的な街(部分)があるのもよく知っている。ただ、そうは言っても東京、もしくは関東圏は物理的に近いので「無個性な東京」の影響を何かしら受けていると思う。
それで地方は物理的に離れているので東京の影響は薄い。テレビが良い例なのだが地方に行くとローカル局の番組が流れている。東京のゴールデンタイムと言われる時間帯でも地元で根強い番組を放送しているローカル局というのは多い。このいわゆる「ローカル番組」というのは東京に住んでいるととても面白く見える。
それで前述した「経済的な事情」に関しては、実は「家賃以外」は高いと思ったことがない。むしろ東京のほうが「安い」場合が多々ある。こればかりは個人の消費行動に依存すると思うのだが少なくとも私が消費活動をしている範囲においては高いと思ったことがない。もっと言ってしまえば高い所を避けて安い所(物)を探せば良いだけの話だし、東京の場合こうした安いところが容易に見つけられる。交通費がいささか重たいがこれは私個人の移動距離の問題であって他の都市と比較した場合、移動距離に比して安い。
あと、自宅近所のスーパーで売られているナショナルブランドの食料品は札幌よりも安い。さすがに魚や野菜の種類は少ないし、こうした生鮮品はさほど安くもないし種類も少ない。ただし、上野などの特別なエリアや東京でも町田などの郊外にあるスーパーまで足を運べばこうした不便は解消される。
また、地方の場合、家賃が安い代わりに「車」が必要な場合が多いので「経済性」だけで比較するのは難しいと思う。
そうは言っても「環境」の良さは地方が優位なのは事実だ。また、東京で子育てする気分にはならない。個人的には海に近い場所が好きだ。ただ、いま現在どこか住みたい街があるかと言われれば「No」である。
確かに、一週間くらい滞在していみたい街はたくさんある。でも、「一週間」だ。ある程度断続的に訪問したほうが面白いことは経験則として知っている。最近気になっている大阪も、一週間くらい滞在してその後二ヶ月後くらいにまた一週間、みたいな感じが良いと思っている。
結果的に東京のメリットと言えば何かと言うと、人と人のハブ機能、世界への窓口、情報の集積地、交通の起点(国内、海外)である。要するに地方都市に比べて「機能性」が高いということだ。
東京にいるといろんな人に出会う機会がある。地方でも同じだろうが質と量が違う。特に「量」で言うとやはり東京は圧倒的だ。また、「世界への窓口」という点に関して、ここ数年英語を話す機会が増えている。地方都市でもこうした環境を得ることは可能だがそれに伴う労力が必要だ。でも、東京ならボーッとしていても向こうからやってくる。
そして、情報に関してはいくらネットやらfacebookが発達していても、「実際に会う機会」で言うならば断然東京が有利だ。恐らく国内で鮮度の高い情報を発信している人たちの90%は東京にいるだろう。
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そう、「情報の鮮度」は重要なのだ。気になったことをちょっと聞きたい場合メールでも可能だが「直接会う」のとは違う。それにメールというか活字はその時点でリアルタイムでもないし、温度感も伝わってこない。
しかし、そうは言っても「地方における個々の連携」は東京とは異なり凄いと思う。偶然知り合った同士でもかなり強い絆が生まれている例は多々観ているし(※そのお手伝いもしてますよ)、「アンチ東京」というものを皆が持っているので尚更強いと思う。これはこれで憧れるがまだ私はその域ではないのだよねぇ。
さて、最後に「交通の起点」である。東京は日本の中心だし、交通網も「東京から」は整備されている。飛行機、バス、電車などなど。移動を重んじる私にはこれは極めて重要なファクターである。
東京を起点にし、国内外をうろつき回る。そして東京と比較する。東京にあって地方に無いもの、地方にあって東京にないもの、そうしたベンチマークとしても東京という街は使える。
つまらないけど機能的、ならば「機能としての東京」を活用するほうが賢いと思う。